小説 『僕が愛したすべての君へ』『君を愛したひとりの僕へ』 読了
『僕が愛したすべての君へ』を読み終えた時点での感想
こちらを先に読みました。
初めと終わりと物語の仕組みはとても良かった。それ以外の部分は微妙かな。
いい話として纏めてるけど、並行世界の解釈的に気になるところとか、並行世界での恋愛に対する考え方・温度感が自分に合わないこととか、お話の比較的小規模なスケールの割りに随分と壮大で綺麗な物語として閉めているところとか。
並行世界を分冊で描くアイディアはとてもよいので、後半(君を愛したすべての僕へ)が好みな話になるかどうかだな。これを読み終えた時点では逆の方が良かったかも?と少し思った。
『君を愛したひとりの僕へ』 を読み終えて改めて書いた感想
「僕が愛したすべての君へ」を先に読了した。
正直なところあちらを読んだ時点では文章が好みではないし話もありきたりでSFというよりもロマンス寄り。設定だけは面白みがあって、でも細かい詰めが甘く感じる。
といった感想だったけど、こちらを読み終えた頃に化けた。
やはり細かい部分で気になるところはあるのだけど、それ以上に、並行世界を分冊で描いて、このメビウスの輪みたいな物語を作り上げたことに喝采を送りたい。
互いの物語が裏と表であって、かつ繋がっている。
タイムリープを題材にした物語は多々あるのだけど、結局のところリニアな物語で終えている作品がほとんど。ループしてはいるが終わりはあって、つまり物語の進行がバネのようになっている。
対してこの作品は終わりが二つあり、そのどちらもが一つの終わりを迎えているのだが、並行世界が互いに絡み合っていて明確にどちらが先でどちらで後とは言えない。取りようによってはハッピーエンドにも、バッドエンドにもなり得る。
この並行世界を分冊にして絡み合う二つの結末を組み上げた構成が素晴らしい。それを活かすにはこの刊行スタイルしか無かったと思う。
半分だけ読んだ時点の評価は正しくなかった。
最終的な評価としては、とても良い作品でした。
最後に
どちらから先に読むかは自由です。
ハッピーエンドが好きか、バッドエンドが好きかで決めてしまうのが一番いいと思います。
私はバッドエンドや切ない物語が好きなので『君を愛したひとりの僕へ』を後にしました。
読後感はとても好みなので良かったと思います。
でも、普通は『僕が愛したすべての君へ』が後でいいんじゃないかな?
僕が愛したすべての君へ (ハヤカワ文庫 JA オ 12-1)
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君を愛したひとりの僕へ (ハヤカワ文庫 JA オ 12-2)
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