ストラスちゃんネット

ユーザー投稿型コミュニティブログ。執筆者はゲーマー中心で投稿ジャンルはエンタメ全般。随時寄稿者募集中。

Steam 『Getting over it』

store.steampowered.com

 

10時間ほどで1周クリア済み。(現在steamは旧正月セール中だ)

 

特定の人に向けて、誕生した、ゲーム。特定の人を、傷つけるために。

 

 2017~2018年、年の瀬にかけて話題が沸騰した俗に言う壺男ゲーことGetting over it.

 ユーザーNOTフレンドリーなステージ構成。壺にはまった裸のおっさんがハンマーを振るう奇妙な用紙。意図も目的も不明なままただ目の前にあるそれを登りきる使命感のみに突き動かされてプレイヤーはマウスを回す。およそ直感的ではないその操作系統にとまどったまま登ることを諦めるプレイヤーは数知れず。

 

 

 このゲームの操作感覚は、skate.シリーズに似ている。

www23.atwiki.jp

 

 ハンマーを下に降ろして上に跳ねる様はスティックを下から上に弾くOllieだし、大きくハンマーを振り回して飛ぶさまはスティックをぐるりと回すPop Shuvitだ。

 飛び上がった先から壁際の小さなでっぱりに引っ掛け、そこから若干ズラして真上に跳ね上げる少し難易度の高い技はHardflipのように見える。

 不安定な状態でハンマーの先を引っ掛ける様子は繋ぎのマニュアル。

 時にはコンボを繋いで連続トリックを決める場面もある。

 

 たしかに極めて特殊な操作系統には困惑を覚え、慣れるまでは快を不快が上回るかもしれない。(むしろ慣れてもストレスが溜まることはあるだろう。)

 悪意しか感じないステージ構成と心理学者に協力を仰いだナレーション、ゴムのように反発する壺と普段は頼りないのに突如として信じられないほどの力を開放するハンマーがストレスに拍車をかける。

 私は何故こんな奇妙な格好をして壺に閉じ込められ、まともな言葉を発することも出来ずに山を登り続けるのだろう。

 自問自答しても虚しく響いてくるのはカツンと響くハンマーの音と、嘆きにも似た苦しみ呻く壺男のかすり声。そして無情にも空に放られコントロールを失った体は重力に逆らえず落ちていく。

 

 男は意を決し、再び来た道を登る―――。

 

 だが実際遊んでいると、ステージ構成にはいくらかの優しさを感じるし、何も考えずにただ高難易度を積み上げているのではなく、スキルアップを意識したレベルデザインになっている。

 Getting over itは単なる悪意に塗れただけのクソゲーではない。得意な操作系統を独自の物理法則として一本のゲームにまとめ上げた手腕には賛辞を送りたい。

 苦行を乗り越えた達成感だけではなく、この世界の法則を習得した充足感をも得られる良ゲーである。

 私は、自分との戦いに勝利したのだ。

(83点) 

 

まぁ、おそらく最後に蛇に飲まれて落ちていたらクソゲーだっつって即座にアンインストールしていただろうけどネ……。