Steam 『VA-11 HALL-A』
steamのオタクはマストバイ。
オタクゲーマーにとって、Life is Strange、VA-11 HALL-A、Undertaleがsteam三種の神器であると宣言しよう。
今は旧正月セール中で1200円。PLAYISMによる日本語翻訳も出来がいいので、是非遊ぼう。
サイバーパンクバーテンダーアクションという一風変わったジャンルのこのゲーム。
セクシュアルな表現も大いに含むが(個人的に)あざとさを感じるものではなくその程よさに癒やされる。
取り扱われる題材はセンシティブなものだが、そのどれもが偏りなくフラットに扱われている。
ことさら強調するでもなく、ただ自然と、特別に見える特別でない人達の、平凡ではない平凡な生活を、騒がしい日々の喧騒からの穏やかなる逃避先としてこのヴァルハラ(戦死者の館)という名を冠するバーへと、バーテンダーの目を通して見つめるのだ。
ジル(バーテンダー)の言葉にはベネズエラの日常(それは私達市井のものの生活にも通ずるところがある)に対する実感がこもっており、およそ私達の生活とはかけ離れているサイバーパンクな舞台設定であっても親しみが沸く。
その親しみはレトロなドット絵であったり、キュートなキャラグラフィクスであったり、PC-98風インターフェースであったり、日本のアニメネタや匿名掲示板だったり、そういったこのVA-11 HALL-Aというゲームを構成する要素の随所から細やかな心遣いを感じ取ることが出来る。
難点としてはシステムの不便さが挙げられるだろうか。いかんせんこだわりが強いせいかテキストノベルとしては若干の煩わしさが感じられる。
だがカクテルを注ぐ作業をこなしながら登場人物たちが何を思ってそれを頼んだのか、これを飲んでどんな気分を味わうのかに思いを馳せて欲しい。
きっと、単なるビジュアルノベルではなくバーテンダーアクションを追加した意図が理解出来るはずだ。
(少し遅れたバレンタインデー)
PS:
余談だが、私はこのゲームをsteamコントローラーでプレイした。
この操作系統の完成度がとても高いのだ。
私は日頃からsteamコントローラーを推しており、マウスとコントローラーの中間の特徴を持ったこのデバイスには可能性があると信じている。
(可能性をまだ活かしきれていないことと、使う場面が少ないことから購入を勧めるまではいかないのが正直なところなのだが…)
それを存分に活かせているのがこのタイトルだ。設定自体はユーザーコミュニティのもので、開発が最適化したものではない。
ポイントとなるのはマウス操作だと若干の煩わしさを感じるバーテンダーアクションがワンボタンで完結するところ。ボタンも色に対応しているので直感的に操作できる。一般的なコントローラーでは対応しきれないボタン数でも、バインディングを工夫することでそつなくこなせる。
またヴァルハラにはテキストノベル&バーテンダーアクションの場面と、スマートフォンを操作する場面の2つに分かれており、その操作系統を2つのモードに分けているのだ。切り替えはワンボタンで出来る。
そして、これこそがsteamコントローラーの最大の長所だと思っているのがマウスリージョン操作だ。これはある一定の範囲をタッチパッドに割り当てて操作するもので、イメージとしてはペンタブ操作に近い。
実際にこのゲームを遊んだ人でないと説明しづらいのだが、マウスでの操作が必要な場面であってもこのマウスリージョンがあると快適に操作できる。
ただいかんせんマウスリージョンは操作設定をカスタマイズする際には一定範囲を自分で設定する必要がある。これがなかなか困難で、特定のシステム(例えばマインクラフトのアイテムボックスだとか)では有効活用出来るのだが、自分でそれを設定する労力が厳しい。そんな手間をかけるならマウスなりコントローラーを使うよね、となってしまう。
それを補うためにユーザーコミュニティで操作方法を共有する仕組みがあるのだが、それもユーザー次第。マイナーなゲームであったりするとやはり自分で最適化する必要がある。
左右にあるタッチパッドにはマウス・マウスリージョン・スティック・マウススティック・パイ型メニューなどの様々な操作設定を割り当てることが出来る。
更にモードチェンジまで活用すると無限の可能性が広がる。
だが、ユーザーが対応するだけでは限界がある。(中には開発側で最適化してくれているものもあって大変に喜ばしい。)
もう少し広まってくれると助かるのだが……。
(95点)