Steam 『RunGunJumpGun』
死に戻り
鳴らし続ける
ガトリング
なんとセール時はたったの200円。コスパ良好な2D横スクロールアクションゲームです。私のレビューを読まずとも、ストアの説明がたっぷりと充実しています。それ読んで気に入ったら遊んじゃいましょう。
リスペクト元に「VVVVVV」「ホットライン・マイアミ」「スーパーミートボーイ」が挙げられています。さもありなん。
私の感想を述べます。
RunGunJumpGunは、ゲームメカニクスには特段目立ったところはありません。
挙動の不安定な機体を2つのボタンで制御するスマホではよくあるタイプの激ムズアクションです。あれに1ボタン追加して、前攻撃が可能になり破壊要素が加わった程度です。とはいえ1つの要素の追加でギミックのバリエーションは格段に増えています。昼時の眠気を耐えるような上下運動を繰り返す、精神修行2D横スク避けゲーではありません。禅修行ではなく、「もしサイケデリックトランスが仏門に入ったら」です。
どうして背中にジェットパックのようなものを背負っているのにガトリングガンで浮遊しているのでしょうか。地面にガトリングを連射した反動で浮かび上がる原理は…よくわかりません。
リトライは快適ですがとにかく死にまくります。虹色の軌跡を描きながらテープの巻き戻しみたいにキュルキュルと遡り、何度でも死ねます。そう何度でも…。
このゲームには1ステージで100回死ぬ実績があるのですが、ワールド1をクリアした人の割合が22.3%。この実績を解除した人の割合が21.4%。つまり、ある程度遊んだ人はみな100回死んでいるのです。死を畏れてはいけません。共に、地獄へ参りましょう。(ちなみに、ワールド2をクリアした人の割合が7.2%(私はここまで)。ワールド3をクリアした人の割合は1.3%しかありません。)
本作の主人公はジャンク屋です。急速に力を失いつつある太陽。その太陽の力を取り戻すために必要なアトミクスを集め、滅亡の危機に瀕した星系を救うことが本作の目的になります。…実際主人公は喋んないのでそんな崇高な目的のためにアトミクスを集めてるのかはわかりません。なにせ、ジャンク屋だし。
ともあれみなを救うため?一人過酷な試練に挑む彼に対し、無責任に好き勝手喚き散らす異星人ども。サイケなビジュアルも相まってネジの吹っ飛び具合が楽しくなってきます。幕間では何故か川柳風のステージコールが表示され、これもなかなか味があります。ステージタイトルも見逃せません。全般的に翻訳に力が入っておりどれもが素晴らしくイケてます。
この世界観に浸っていると、何故だがイカれ野郎たちの声が聞きたく、ガトリングの轟音の最中に身を置きたく、もどかしい操作感の機体をどうにかゴールまで運ぶしんどさが癖になってきます。まぁ、後半はちょっと難し過ぎるかな…。
難点は、そういったエンターテインメント精神溢れる爽快なゲームながらも、後半のステージ構成はかなり神経質で細かい操作精度が要求されるところにあります。特に、撃ちっぱなしのマシンガンを細かく途切れさせながら前へ下へとスイッチし、水中では重力も転換。吹っ飛んでも当たり判定の残る回転ノコギリをふらふらと掻い潜っていくステージはつらいです。私は終盤でクリアを諦めました。
しかしながら最後までエンターテインメント精神を忘れないこのゲームは、とんでもないものを用意していました。マジで?
そう、これが全てを終わらせる核ボタンです。これを押すと全てのステージがクリア扱いになります。アトミックも全回収です。ゲームは終わり、星系は無事救われることでしょう。私は愛すべき異星人を救うため、全てが終わり、また、全てを終わらせないための核ボタンを押下しました。
ラストステージが出現したのですが、難易度もラストに相応しいもののようで、早々に諦めて退散。楽しむためにはチートも辞さない(オンラインゲームではやらないよ)。必要以上のストレスは溜めない主義が私のスタイルなのです。
値段分は十二分に楽しみました。心に残るゲームという点でもそれ以上の価値があります。
ちなみにご親切にクリア状況をリセットするボタンもあります。
…なんかまたやりたくなってきたな。
(75点)