誰にも理解されない『ステルスゲーム』の価値観
おそらく私は『ステルスゲーム』が好きなのだと思う。
初代アサシンクリードは何週もプレイし直したし
PAYDAY2、HITMANなんかは今でも遊んで面白いと思える傑作だった。
でも今まで私の“ステルスゲームが好き”は疑問形だった。
それは他者とステルスゲームで遊んだり話したりする度に価値観が全く合わなかったからだ。
PAYDAY2ではとにかく人を殺しまくるプレイをするやつが嫌いだった。
初代アサシンクリードをつまらないというやつに限って戦闘が面白くないと言うので何度もため息をついた。
私はいつも思っていた。
ステルスゲームに戦闘を求める事が間違っていると。
それはただのアクション好きだろうと。
だが世間的には私の価値観がおかしいようだった。
ステルスゲームを好きと言う人は、皆殺しできる事を高評価としていた。
敵を殺してマップを蹂躙することが一番キモチイイものであると。
そしていつしかこう思うようになっていた。
私自身がステルスゲームは肌に合っていないのではないか。
先日、空いた時間にIGN JAPAN様のしゃべりすぎGAMERを拝聴していた。
こちらがその時私が聞いていた回である。
#86 しゃべりすぎGAMER:推しジャンルをひたすら語る
youtu.beステルスゲームについては
30:00~から話されているので是非とも聞いてみて欲しい。
まず話のはじめとして今週のテーマ“推しジャンルを語る”という紹介になるところを
千葉さんが“他人に理解されない俺の推しゲー、、、、、推しジャンル”と言いながらステルスゲームを紹介している。
そしてその後の会話が以下である。
千葉さん『まずみなさんステルスゲームやってます?』
ダニエルさん『大好き!』
野口さん『僕は、結構やってます』
クラベさん『メタルギアシリーズぐらいかな…』
この時点で何かおかしい事に気づかないだろうか?
千葉さんが“他人に理解されない推しジャンル”としてステルスゲームを挙げているのに
クラベさん以外が評価の高そうな返答をしている。
既に理解されてるじゃねーか
では千葉さんの“他人に理解されない推しジャンル”という認識がおかしいのだろうか
いや、違う。
千葉さんの『ステルス』の価値観が他の人と全く違うのだ。
だからこそ千葉さんは他の人とは価値観が違う“他人に理解されない推しジャンル”としてステルスゲームを挙げているのだと思った。
それは私の中で常々感じていたことだったからだ。
続けて、千葉さんはこう語っている。
ステルスゲームの魅力……色々ありますけど、一番は、ここ僕重視してるんですけど、『自己実現をする』って事が重要なんですよ。
単純にクリアだけを考えちゃダメなんです基本的に。
いかに自分のやるかっこいいのを実現するかってことが重要なんです。
『敵を殺さない』これ重要です非常に。
『全く見つからない』とか。こういった事をやって
あぁ俺すごいな~~って思うのが重要です。
あぁ・・・なるほど。
この価値観は私のものとは違う。
でも、今まで聞いてきた価値観の中でも最も共感できる意見だ。
そうなると、最初に推しゲー…推しジャンルと言い直すことになった理由も分かる。
千葉さんの中で本当のステルスゲームといえば“HITMAN”なのだ。
用意されたマップに挑み、あらゆる手を駆使して不殺を全うする事に美学を感じている。
クリアしたマップを全て掌握した自分を神の領域へと昇華した時に最上級のカタルシスを得ているのだ。
私はゲームをプレイした時、ゲーム製作陣のこだわりを感じられる作品が大好きだ。
ステルスゲームの不殺プレイは基本的に一番難しいルートである。
私は無意識化で、一番難易度の高い不殺プレイこそがゲーム制作陣の一番プレイして欲しいルートであると感じていたのだ。
こうなると、なぜ私が好きなステルスゲームが他のステルスゲーム好きと意見が合わないのか理解した。
初代アサシンクリードは戦闘自体は全くつまらなかった。
しかし、戦闘を避けるために自然とステルスプレイを考えさせられる。
そこには、フリーランを活かした予想外の場所からターゲットだけを殺せるルートが用意されている。
その設計からフリーランで遊び抜いて欲しいというこだわりを感じられて、私は初代アサシンクリードが好きだったのだ。
だから、カウンターしてればいいよねとかいう将軍プレイを聞かされるのが嫌いだったのだ。
PAYDAY2は一番難しいステルスプレイをこなすのは一人では厳しい。
そのためボイスチャット等で協力して、ようやく全員がうまくいった時にステルスクリアすることができる。
とにかく難しい協力をと考える製作陣のCOOPゲーへのこだわりを感じた。
だから好きだったのだ。
だから全員殺せば通報されないよねとか言いながら通行人を皆殺しにする人が嫌いだったのだ。
だから徹底してこだわり抜いたマップデザインのSIRENが好きだったのだ。
だからMonacoの考えられたマップデザインをThe Cleanerで無理やり突破する人が嫌いだったのだ。
だから不殺、ステルスキルがただの選択肢となっている
メタルギアシリーズが嫌いだったのだ。
ステルスゲームと銘打つゲームも
蓋を開ければ、ステルスプレイという選択ができるだけの
ただ自由度の高いアクションゲームになっていないだろうか
ステルス要素によるゲームプレイの多様性に価値が求められた結果
多種多様なステルス要素を含むゲームが出てきたからこそ
今『ステルスゲーム』からステルスの本質が失われつつあるのではないだろうか
全てを理解した私は
マイノリティの化身となった。
これから期待できる私が好きなタイプの硬派なステルスゲームなんてもうHITMANシリーズしかないだろうし
世の中でもステルスプレイは多様性の一種としてしか発展しないだろう。
それは世の中のレビューが自由度の高さ、多様性がある作品は素晴らしいと位置付けているし、私が個人的に調べ、閲覧したブログのほとんどが不殺プレイを押し付けるなと書かれていた。
ステルスゲームが好きという人はステルスキルで皆殺しできることが一番のカタルシスだと。
ふざけるな。
勝手に『本質的なステルスゲーム』を殺すんじゃない。
多様性の一種にステルスを組み込むゲームを否定するつもりはない。
この辺りは好みの問題で、多様性こそ多くのユーザーに好まれるゲームになるのだから。
ゲームは売れなきゃ作れないのでしょうがないともいえる。
だが、しかし、できるならば
千葉さんや私のような不殺プレイを好む人種にも硬派なステルスゲームも出し続けて欲しいと思う。
最後に
この記事を見て不愉快になる人もいると思う。
(特にただの選択肢とか言われたメタルギアシリーズのファン)
しかし、アクションゲームがステルスに寄り添ってもそれはアクションゲームだが
ステルスゲームがアクションに寄り添うとそれはもうアクションゲームになってしまうのだ。
私はステルスゲームという1つのジャンルが消えてしまうのだけは避けたいのだ。
だから攻めてこの記事の中だけでも強く叫ばせて欲しい。
お願いだからステルスゲームを消さないでくれ、と。