ストラスちゃんネット

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小説『ロッキン・ホース・バレリーナ』

ロッキン・ホース・バレリーナ

ミルフィーユのように層の重なった分厚い靴底に乗っかるいびつに膨れ上がった傷だらけの自意識。

覆い被せた華美でGOTHなロリヰタメイド。

しゃがみ込む姿に耕助は毒々しいラフレシアを幻視する。地球で一番大きな花。色も匂いも見たものを誘引して離さない。あの子が好きな、ラフレシア

夢現のまにまに『野原』の面子は町子に惹かれ、町子もまた『野原』の奔放さに惹かれる。

 

未来を目指し、青春バンド御一行は日本各地を行脚する。

乗り心地の悪いハイエースはグラグラと揺れ、耕助の心は陽炎のように揺らめく過去と現在とで揺れ動く。爪先立ちをしたロッキン・ホース・バレリーナは揺れ蠢く。

「爪先立ちで揺れてるわずかな間だけ、本当のことを言えるの。」

二人の遅い思春期。時の止まった町子と耕助。

ロッキン・ホース・バレリーナを履き不安定に揺れる町子の言葉に、不安定な思春期を送る青春ロックバンドが重なる。あの輝きだけは本物だった。

本物の青春バンドの輝きと、嘘と虚飾に塗れた本当の世界。

得山は葛藤する。選ぶのは現実か、幻想か。

音楽は目的か、手段か。

 

ロッキン・ホース・バレリーナ

大人のフリして背伸びした。狭間で揺れる、18の夏。

十八才で夏でバカだった。

あの夏、僕らは少しだけ大人になった。

 

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