私は、私のせいで、オープンワールドが苦手だ
オープンワールドが苦手と気づいた日
「自分はオープンワールドのゲームが苦手かもしれない」
そう思ったのがいつ頃からなのかは定かでない。
しかし、少なくともTESシリーズのOblivionやSkyrimはおおよそ30時間程度で飽きて辞めてしまっていたし
ウィッチャー3が出た時ですら“オープンワールド” “高い自由度”の謳い文句からむしろプレイを避けていた。
そんな最中、私の目の前に一本の光が差しこまれた。
そのゲームの名は「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」
GOTYを受賞しレビュワーから高評価を総嘗めにした現代の名作である。
それは、オープンワールドの世界を変えたとまでされる洗練されたゲームデザインによるものとされ、私自身もゲーム好きの一人としてこの作品は聞くだけでなく体験せねばなるまいと鼻息荒くして購入したわけだ。
そんなゼルダの伝説BotWすら
私は10時間程度のプレイ時間で遊ぶのを辞めてしまった。
この時、ようやく私は
自分がオープンワールドが苦手なことを自覚した。
ゲームの好き嫌いはあれど
多くのユーザーは評価するゲームを楽しめない可能性というのは、1人のゲーマーとして結構辛い。
そして、オープンワールドが苦手ということは
AAA級タイトルが軒並み楽しめない可能性があるということだ。
これは如何ともしがたい話だということに今さら気づき
なぜ自分がオープンワールドが苦手かを考えることにした。
オープンワールドのどこが苦手なのか?
まずはネットでオープンワールドが苦手という意見を自分で調べてみた。
しかし、よく出てくる苦手派意見には納得のいくものがほぼほぼなかった。
なぜなら、その辺り意見は「ゼルダの伝説BotW」がほとんど克服しているからだ。
具体的に意見を出してBotWの方法を交えつつ考えてみよう。
・ゲームを楽しむ人間ではなく、ゲームを攻略することが好きな人間だから
極端な発想だが確かにオープンワールドの攻略性を考えると的を得ていると思われる。
だがBotWは武器が壊れる、持てる数の制限の2つの要素を利用して攻略も楽しめるよう設計されている。
そして、私は攻略人間かと言われるとウォーキングシミュレーターやFlorenceのような体感型ゲームもかなり好きだ。
そのため、この「楽しむ」「攻略する」の考えが2極化する事が一般的な意見とは思えなかった。
・やることが多くて何をすればいいかわからない
・指示待ち人間
今時、指示のでないオープンワールドなんてあるのだろうか?
しかもBotWは少し歩けばやることが見つかるように綿密に設計されているのにわからない人なんているのだろうか。
ゲームをやり慣れていない人でもチュートリアルが説明される時代だ。
こんな初歩的な考えもなしにゲームをリリースしている会社はいないと信じたい。
・方向音痴で行先が分からない
・移動がめんどくさい
これもファストトラベルのシステムで訪れた箇所にすぐ行けるようになっているので、単純にゲームをやり慣れていないだけではと思う。
ただし、これを多用すると綺麗な景色とかは見ないので世界体験を阻害してしまうことになる。
ちなみにBotWはトラベル先を高台にすることでトラベルしても景色が楽しめて行先も見つけられるように工夫している。さすがGOTYに選ばれるゲームだけある。
・できることが意外とワンパターン
・マップが広いのでどうしても細かい作り込みが雑になってしまう
これも直接的な原因ではないと思う。
それこそストーリーや世界観を楽しむのであれば、特に重要な要素ではない。
そしてBotWには尚更当てはまらない意見だ。
・アクションゲーム大好きだとオープンワールドの戦闘にピンとこない。
この意見は個人的には少し腑に落ちた。
確かにゼルダの伝説が好きな自分としてもBotWの戦闘はつまらないと感じていた。
理由としては様々な装備を使う必要はあっても、とりあえずジャスト回避をすれば勝てることに気づいてしまったからである。
実際、私がBotWをプレイしなくなったのはライネルをジャスト回避で攻撃し続けたが、持っていた武器が全て壊れてしまった。
しかし、ライネルに挑んでいる最中の私は多分に楽しんでいたので別に戦闘にピンとこないから苦手かと言われる事には首を傾げた。
このようにオープンワールドを苦手とする意見を見ても
オープンワールドを苦手とする自分への絶対の理由には当てはまらないように感じた。
私は、私のせいで、オープンワールドが苦手だった
苦手意見を集めていた際に、私の眼に1つの意見が飛び込んできた。
「何をすればいいか分からないって言うやつはメインストーリーだけさっさと進めればいいじゃん」
匿名掲示板での意見のためこれも極端な意見の1つだが
この意見を見た時、えらく自分の中で怒りが湧いてきた。
オープンワールドが楽しい人は横道に逸れて色々なクエストを自由にこなすのが楽しいとオープンワールド好きは言うのに、その遊び方を真っ向から否定するアドバイスは何なのだと。
もちろんこの意見はゲーマーとしては酷い意見と思うのだが妙に納得した考えが自分の中で現れた。
それは前々から話している自分のゲームに対する強迫観念について。
“ゲームを遊ぶなら最大限楽しみたい”
この考えはゲームを遊ぶ上で常に自分に圧し掛かる呪いでもあるのだが
この呪いこそ、私がオープンワールドを楽しめないようにしている原因と気づいた。
いや、気づいてしまった
そう、この呪いは
「自分のゲーム体験と他人のゲーム体験に優劣をつける行為」なのである。
オープンワールドは100人いたら100通りゲーム体験がある。
ストーリーはほぼ同じだとしても、そのストーリーに至るまでの体験は自分だけのもののはずだ。
それがオープンワールドの良さだ。
しかし、私はゲーム体験を他人と比較して一体どの程度楽しさを体験していたのかを常に考えてしまっていたのだ。
私は何と頭が固くて酷いゲーマーなのだろうか。
例えばゼルダの伝説BotWではライネルをジャスト回避し続けたが武器がなくなって辞めた。
これは
1.ゲーム中で使える最も効果的な戦闘方法で
2.体力は余裕なのに武器が全部壊れて倒せなかった時
3.強いやつを倒すには強い武器を拾うだけなのかと感じてしまい
4.ゲームの底が浅く感じてしまう
という高慢な自意識でゲームに飽きているのだ。
もちろんその後ネットで「ライネル 倒し方」と調べて
倒せないなら気づかれないように逃げましょう!
強い装備を持って行って挑みましょう!
と出てきた内容でさらに底が浅く感じてしまうことが、さらに悪い意識への拍車をかけている。
そこでは
「なんだ~、みんなただ強い武器拾って挑んだだけなんだ。じゃあ自分は倒したも同然だ」
という醜い自意識が作用して他のプレイヤー体験を勝手に劣っていると判断し、あたかもゲーム全体をクリアした気持ちになっているのである。
オープンワールドでは
こういったゲーム体験の差が如実に現れる。
しかし、自分のゲーム体験が優れていると考えたい自分は
無意識化で
「他人の体験に負けたくない」
「他人が最高と思ったゲーム体験と同等の価値を自分でも享受したい」
と考えていたのだ。
1人1人のゲーム体験に
優劣なんてあるはずがないのに…
以上
何とも馬鹿な理由だが
これが私がオープンワールドが苦手な理由である。