2018年 読んだ本について ―ストラス―
2018年は(私にしては)小説をたくさん読みました。
ゲームはあまりしない一年でした。
私は小説を読みたい気分の時にはゲームをやらなくなり、ゲームをやる時期には小説を読まなくなります。
理由はわかりませんが私の性向みたいです。
今は小説を読みながらゲームもやっています。
そういうこともあるみたいです。
去年読んだ本をまとめたいと思います。
読書メーターに都合の良いものがあったので利用しました。
漫画はほとんど登録していません。ドロヘドロとか完結したのを聞いてから一気読みしたんですけど、量が多くなってしまうので。
途中から今年は読んでいる年だと気が付いたので冊数を意識し始めたのですが、どうせなら月平均2冊を目指したかったですね。
ここから漫画を除くと21冊です。
古典
古典を重点的に読もうと思っていたのですが見返すと、
『ジーキル博士とハイド氏』『はてしない物語(上)』『ファウスト』『フランケンシュタイン』『老人と海』の5冊しか読んでいません。
どれもいい作品でした。『ファウスト』については少し後悔しているところがあって、この『史上最高に面白いファウスト』なんですが、史上最高につまらない読書体験でした。
何がだめだったのかを申し上げますと、これは他人に読まされる作品だったからです。
作者の意図しているところはわかります。
古典に纏う高尚さが邪魔をして正確に読み取れていないのではないかという危惧。
しかし意図のままに訳すまではいいのだけれど合間に挟む解説が邪魔だった。
飛ばし飛ばしでどうにか読み切ったけれど、読書中に他人に話しかけられているようで気が散ってしょうがなかった。
私は私の解釈が欲しい。一つ学びました。
『はてしない物語(上)』は(下)を読んでいない(買っていない)ので今年中には買って読破したいと思います。
中身は子供の頃にダレンシャンやハリーポッター、バーティミアスにネシャン・サーガといったファンタジーを読みふけっていたことを思い出すもので、
また大人になっても楽しめる、物語に夢中になるとはどういうことか、メタな視点の物語に物語の本来の形を見失ってきた今読むと、少しだけ物語を楽しむ純粋さを取り戻せるような気持ちを抱ける名作古典です。
これを読み終えた時に私が何を思っているのか、再度まとめ直したいと思います。
作者ミヒャエル・エンデの作品も児童向けファンタジーという看板の裏に隠された深さを知りたいので他にも読んでみたいです。
『フランケンシュタイン』はまさに現代にも通ずる普遍性のある名作だと、まぁ月並みですがそんな感想を抱きました。
野崎まど
去年読んだ本で言うと野崎 まどは外せませんね。
intelligence-gaming.hateblo.jp
ブログにも本作に対する考察を書きましたが(ネタバレ注意)、読み応えがありました。
オムニバス形式のような連作なんですがまずそれぞれが独立して面白いんですよね。
いきなり最後まで読もうと思わなくてもいいのでまずアムリタを手に取ってみることをおすすめしますよ。
個人的に死なない生徒殺人事件がミステリーしててファンタジーしててSFしててお気に入りかな?
ただやっぱり『2』まで読んでよかったなぁ~という気持ちが大きいです。
ライトノベル
ライトノベルは野崎まどと、『ボーパルバニー』、『サクラダリセット』です。
『ボーパルバニー』の作者の江波 光則は私のお気に入り作家で、ガガガ文庫といえばこの人!だと思ってます。
『ストレンジボイス』、『パニッシュメント』(一番好き)、『ペイルライダー』の三部作は至高!
Carnival好きな私の心も踊らされる当時のガガガ文庫の勢いを感じられる傑作揃いです。
それ以降気になりつつもしばらく離れていたのですが、ウィザードリィをオマージュした本作が非常に気になったので手に取りました。
題材はかなり違うのですがハードな部分は面影が残っています。
期待していたオマージュもふんだんに散りばめられていて考察するのが楽しい!
『サクラダリセット』の感想は保留。1作目を読み返したら記憶よりも楽しくて、あれっ?ってなった。
一般文芸
一般文芸では『コンビニ人間』『煙か土か食い物』。
舞城王太郎は合わないんだよな。何冊か読んでいるけれど相変わらず…。文章が特徴的なのだけどその文章が合わないのは致命的。話もなんだか勢いだけというふうに。
『コンビニ人間』は、良かった。
現代文学として考えさせるところもあり、描写の滑稽さ・真面目さ・温度感が心地よかった。
コンビニ人間であることに喜びを抱けること、物悲しさの欠片もない爽やかさはとても不思議で、心と身体と、理屈と感性と、私と世間と、それらが自分の中でせめぎ合う中確立した主人公と物語とがただ屹然と聳え立っている様は文学の本懐であると感じる。
矢部嵩
ところで最後に残った『保健室登校』『魔女の子供はやってこない』『〔少女庭園〕』の三作ですがこれは矢部嵩という偉大なる作家の作品であって最後の最後で強烈な印象を私に残して行きました。
2018年のベストを選ぶなら矢部嵩『魔女の子供はやってこない』です。
もう少し上手い表現の仕方は無かったのかと思いつつも記事を書いたので紹介しておきます。
intelligence-gaming.hateblo.jp
具体的にはここに書いてしまっているので端的に述べますと、こんな作家が存在したのかという衝撃です。
個人的な衝撃なのでこれに共感を抱いてもらえるかは疑問に思うところなのですが、しかし、これは衝撃と、救いでした。
私を救うために瀬戸口廉也同様これからも傑作を書き続けていってもらいたいです。
2018年は矢部嵩の年でした。
ちなみに今話題のSFマガジン2月号に『魔女の子供はやってこない』の紹介が載っています(積読)。
『〔少女庭園〕』も百合と人類史とデスゲームと思考実験とを掛け合わせてそれを何故か(そしてそれこそが)単なる記録として無味乾燥にまとめ上げた群が壮大な物語を象る(わかるか?)大傑作です。
刺さる人には刺さる、これを極めて高い次元で行ったために捕らわれた人多数の今ホットな作家です。
それでは。