ストラスちゃんネット

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『キングダムハーツⅢ』『KH3』感想レビュー 思い出に包まれたおもちゃ箱

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ストーリーのネタバレなし。

序盤のスクリーンショットを数枚使用。
本稿の執筆時点ではまだ完全にクリアしていません。

 

はじめに

長年待ち望んでいた『キングダムハーツⅢ』が遂に発売された。
まずは買おうか迷っている人のためにも、正直な感想を伝えたい。


ムービーの頻度は非常に多く、そして長い

アクションパートは非常に少なく、そして短い

もちろんアクションはシンプルで派手でとても楽しいが
ディズニーやキングダムハーツ自体に思い入れがなければ、購入は見送った方がいい。


逆を言えば

ディズニーやキングダムハーツ自体に思い入れがあるならば迷わず買うべきだ。


その理由について説明する。

 

 

 

思い出を追い求めるゲーム


2002年3月にキングダムハーツが発売してすぐ、私のゲーム友達だった一人が声を荒げていた。

「兄が毎日コントローラーから手を放さない」
「飯を食いながらゲームし続けている」

おいおい、あの兄*1が…!?

超弩級タイトルが発売したのだと当時の私は胸を躍らせた。

しかし、私はPS2を持っていなかった。

結局、キングダムハーツを遊べたのは発売してから1年後のことだった。


キングダムハーツⅡの発売日には、どちらが先に全クリアできるか友人と競った。
1週間でアルテマウェポンを作り、私は友人に勝利した。
ネットの攻略情報ではまだオリハルコンの素材場所が全て書かれていなかった。
私はネットの攻略サイトにも勝利し、鼻高々に友人にオリハルコンの素材場所を教えていた。


なぜ、急に私の思い出を語り始めたのか。

それは、本作がプレイヤー各々に『思い出』がなければ一切楽しめないゲームであるからだ。

1があり、2があり、多数の派生作品があり
何年もの月日を重ねて発売された本作は
過去体験との結びつきだけでゲームをほぼ完成させている。

 

さらに本作の恐ろしいところはゲームの思い出だけではない。
ご存知のとおり、ディズニーとのコラボだ。
それは子供の頃から知っているキャラクター達、キャラクターの世界で

 

話をして

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旅をして

 

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戦う

 

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こんな最強の思い出抜きで

本作を語ることはできないだろう。

 

 

 

子供時代に体験した楽しさ

では本作はディズニーやキングダムハーツの思い出がなければ遊べないのかと言われると実はそうでもない。
なぜなら本作が刺激する『思い出』は作品だけではない。


まずはアクション部分。
〇ボタンでたたかうコマンドを連打するだけで爽快に繋がるコンボ。
キーブレードの形が変われば、アクションが変わり、戦闘を飽きさせない演出。
さらに△ボタンでド派手な連携技を繰り広げる。

1から変わらないこのスタイルだが
演出があまりにも豪華すぎて非常に贅沢なバトルを遊ぶことができる。
しかも手軽にだ。

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本作はアクション部分を正統に進化させ、そして変わらない操作性を実現している。
操作をするだけで楽しいと思わせるアクションゲームの根源を提示してくれている。

アクションゲームの楽しさとは
このボタンを押すことの気持ちよさが大事なのだ。

これは赤ちゃんがボタンを押して音が鳴るだけで楽しいとか
マリオで敵を踏みつけるだけで楽しいとか
カービィのコピー能力でボスを倒して楽しいとか

全部ひっくるめて

操作するだけで楽しいという『遊びの思い出』なのだ。

 


さらにグミシップ部分。
これはもうわかりやすいと思う。
積木だ。

だが、今作にも船の作れる大きさに制限がある。
恐らく積木が好きな人、もしくはマインクラフトが好きな人は制限なんて無くして欲しいと言うだろう。
しかし、制限をなくしてしまうと楽しさが変わってしまうのだ。

子供の頃、積木で遊んでいたら積木の取り合いで喧嘩してしまったことはないだろうか。
また積木のパーツが足りなくて思い通りの家が建てられなかったことは。
レゴブロックが足りなかったことは。

積木を遊んで体験したものはいつもパーツが足りなかった。

制限なしで何でも好きなものを作れるのは決まって“大人の遊び”だったのだ。
マインクラフトが子供も楽しめるのは、何個でもパーツが使えるという現実ではできない体験ができるからだ。

 

裏を返すと

不自由な船の作成こそ皆が体験したことのある『遊びの思い出』だ。

 

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創造力の欠如した自分はテンプレート機体に装備をくっつけるくらいしかできないのだが、それでも楽しい

 

 

他にも遊園地の思い出や料理やミニゲームや
たくさんの『思い出』を刺激するものがたくさんあるが
今回は省略しようと思う。

 

 

 

思い出ゲームだからこその欠点

このように本作はとにかく『思い出』に特化したゲームだ。
だからこそどうしても人によって合わない部分がでてくる。


例えばディズニー作品の思い入れが強すぎる人。
本作のifストーリーに全く興味が持てないと、どの世界に行っても別の作品のように見えてしまうだろう。

また、キングダムハーツのストーリーが多く差し込まれることでディズニー作品への思いが阻害されてしまうという可能性もある。


例えば難しいゲームを求めていた人。
爽快感や演出がたとえ派手でも、結局操作は単純で〇ボタンか△ボタンを連打するゲームだ。

マリオオデッセイの時にも沢山いたが
ゲーマーにはゲームとしての難しさをいつも求める大人的な目線の人たちが一定層いる。
そんな人たちは本作を触った段階で単純でつまらないアクションだと一蹴していることと思う。


例えばアクションゲームが凄く好きな人。
本作はムービーが多いため、アクション部分だけを楽しむには些かテンポが悪い。
そしてそのムービーが非常に難解である。

 


私は1と2をプレイした後
結局分からなかったストーリーのためにチェインオブメモリーズを遊んだ。
358/2Daysを遊んで、バースバイスリープも遊んだ。
熱心なキングダムハーツファンには劣るが
これでも昔からキングダムハーツシリーズを遊んできた。
そこそこキャラクターやストーリーは分かっている自負があった。

その私が遊んでいても、正直ストーリーをちゃんと理解できているかと言われても微妙である。
そしてきっと私よりキングダムハーツシリーズを遊んでいない人の方が多い気がする。

もしかすると半分以上のプレイヤーは理解できずムービーを眺めているのではないだろうか。

 

 

このように本作は何か1つが好きなだけでは作品を余すことなく楽しむということはできそうにない。

 


だから私は

楽しむために一番ネックである長いムービー自体を楽しむことが可能な

ディズニーやキングダムハーツ自体に思い入れがある人の購入をオススメしたのだ。

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さいごに

しばらく時間が経てば本作は「ムービーゲー」「映画」と言われることになると思う。
しかし、それは仕方のないことだ。
MGS3が発売された当初はムービーゲーと揶揄され非難されていた時期もあったと記憶しているが、長い間シリーズの続いた作品を完結させるには情報量の多いムービーで語らざるを得ないのだろう。

 

またストーリーがよく分からないという声が多く出ると思うが

ぼくらのウォーゲームにでてきたディアボロモンとか
ミュウツーの逆襲でポケモンが泣いてるシーンとか
エヴァを見ていた時だって最初はよくわかっていなかったが、最後は雰囲気で感動していた。


ストーリーを知らない人は詳しい人の解説を待ってもいいのではないだろうか。
というか主人公のソラも何をしているか分かっていない状況なのであまり気にしなくてもいいのではないか。


それよりも
今作で追加された写真機能を使って
1つの街をゆっくりと楽しんでみるのがいいだろう。

街の作りこみが非常に細かく凄い。
インスタ映えスポットを探しても楽しいと思う。

こういう新しい街の探検も『思い出』を作る楽しみ方だ。

 

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ひたすらに懐郷心を煽る本作は

子供の時に感じた『とにかく楽しい』を詰め込んだ

大人のためのおもちゃ箱だ。

 


ディズニー、ピクサー、キングダムハーツの世界観
そして宇多田ヒカルが今でも歌い続けていること

 

これら全てを含めて

 

“夢しかない” 

 

 

今のうちに本作を楽しまない方が損だと思わないだろうか。

 

キングダム ハーツIII - PS4

キングダム ハーツIII - PS4

 

 

*1:友達の兄はゲーマーでいつも色々なゲームを遊んでいた。特に気に入ったゲームを見つけた時、ゲーム内でやることがなくなるまで遊び尽くすような人だった。つまり兄がずっと遊んでいるゲームは名作という風潮が私たちの中であった。