ストラスちゃんネット

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Steam 『The Swapper』

store.steampowered.com

 

steamでは日本語化されていないんですよ、この作品。GameSparkのこちらの記事で存在を知ったので、ライブラリに眠っていたこれを発掘してきました。大昔にhumble bundleで入手していたような気がします。

こんな名作を何の気なしに眠らせてしまうなんて、bundleというものはつくづく罪作りな存在ですね。正規の手段で入手したらそれで終わりでいいんですか。雑に買うのも、雑に見るのと同じくらい敬意が無いものなんだなと感じて、まぁこれは名作であっても駄作であっても、です。

欲しいもの、理由のあるものだけを買い、買った事自体に意義を見出しましょう。積みゲーにもストーリーがあるのです。理由のないものを買ったって、それは部屋の隅に畳まれたAmazonの段ボールの梱包です。

 

さて、話を戻して『The Swapper』の感想を書いていきたいと思います。で、一応されていなくはないんですよ、日本語化。なかなかシステムの都合で苦慮したらしく、全部ひらがな表記らしいんですよね。翻訳も不完全だし。ショベルナイトやFTLと違ってひらがな表記で味が出るゲームなわけでもないし、日本語化MODは導入せずに遊びました。会話の翻訳はあがっているんです。それを併用しつつログデータやWatcherのセリフはどうにか自力で(Google先生の力を借りて)翻訳しながらのプレイでした。英語、もっと読めるようになりたいね。

あ、そうだ。日本語訳が欲しければPS4WiiU版を購入してください。多分翻訳されてるはずです。

 

本作のジャンルはナラティブパズルアクションアドベンチャー。ヒトのクローン技術が確立され、更にはそのクローンと入れ替わる装置(Swapperデバイス)までもが発明された近未来のお話です。舞台は宇宙の何処かの惑星。不運にも事故って不時着した主人公が惑星からの脱出をする、というのが本作の目的になります。

 

具体的にSwapperデバイスはパズルアクションとしてどのように使われているのかと言うと、まず自分と瓜二つで連動して動くクローンを3体まで生み出すことが出来ます。そして、自分はそのクローンと入れ替わることが出来ます。それらを駆使しながらクローンと協力し、変な丸い物体を集めていきます。ベースはInsideの謎解きに近いですね。ですが入れ替わりの要素といくつかのルールのおかげで、とっても歯ごたえのあるパズルアクションになっているんですよ。まだまだパズルには可能性があるんだな、と(2013年の作品です)改めて実感させられた作品です。謎解きだけでなくアクション要素もあります。パズルの難易度はなかなか高めです。

本作のルールは、指定のエリアではSwapperデバイスの機能が制限されるというものです。エリアは4種類。特に制限のない普通のエリア・クローン生成が出来ないエリア・入れ替わりが出来ないエリア・両方禁じられているエリア、になります。それに加えて、重力の反転する装置があります。この重力反転が曲者なんすよねぇ。

(折角書くならスクショ、撮った方がいいですよね。気になるならググってこい!って言いたくなっちゃう。スクショの癖がついてないんだよなぁー。)

 

パズルを解き進めていくと、時折哲学的な問いを交えながら謎が明らかになっていくんですよね。ぶっちゃけ英語でプレイしたのでWatcherの発言はよく読んでなかったんですけど、一応なんとなくは想像したよ。まぁここら辺は雰囲気だけでプレイしても大丈夫です。会話の翻訳があればシナリオは大体理解できます。後は自分で考えてみてください。意識とは何か、自分とは何か、クローンに宿った意識とここにいる自分はどちらが本物なのか?なんてことを。スワンプマンみたいな話ですよね。というか、この惑星の名前が「テセウス」って言うんですよ。テセウスの船です。

 

あ、そうそう。このゲームって実写取り込みなんですよ。steamにはLumino Cityというミニチュア仕立てのゲームもありましたね。あれも美術は素晴らしかったです。本作はなんと粘土細工で作られたものなんですよ。こだわりを感じますねぇ。粘土に命を吹き込んでいるのです。背景美術においても、特に明かりが綺麗ですね。セロファンを通したような暖かみのある光がぼんやりと、前述したエリアごとに照らし分けられています。道中でも宇宙空間の寒々しさがよく表現されています。シナリオ的にも粘土人形とクローンには繋がりを感じさせます。ゲーム中ではクローンが容赦なく死んでいくんですよね。高所から落ちてぐしゃあ、壁に挟まれぐしゃあ。ただの物言わぬ泥の塊に…。待てよ、あれは果たして死んでいるのか?意識はここにあるのに…。

 

シナリオは哲学的な深みのあるSFで、パズルにも独創性がありますし、背景美術に至るまで全てのコンセプトが噛み合って出来た傑作です。プレイ時間は6時間ほど。少し長めの1本の映画を観る感覚です。お値段も手頃な価格なので、是非あなたもこの物語を体感してみてください。

 

 

 

 

 

さてエンディングの話をしたいのでこの文章は末尾に持ってきました。

ここなんですよね、本作の白眉とも言える演出は。

ここから先はネタバレゾーンなので伏せ字です。

自分でプレイして体験してみてください。

(92点)

 

 

 

 

 

 

<Spoiler>

無事発射されたビーコンを探知し、救助隊がやってきます。船員が船から降りてきます。何やら装置で調べられた結果、自分は汚染が激しいので隔離が必要だと言われます。ですが、この船には隔離できる空間は存在しないので助けることは出来ないと救助を断られてしまいます。振り向いて船に戻っていく船員。私は自然と体が動きました。崖の向こう側にいる船員の背中に向けて、Swapperデバイスを…。

 

この、自然と体が反応する感覚がゲームならではでたまりません。Brothers: a Tale of Two Sonsってゲームがあるんですけど、遊びましたか?あれも傑作アドベンチャーの一つですよ。画面に指示が出てたと思うんですけど、野暮ってもんです。私は画面を見ずに手が動いていました。ですが、ここでどちらか選択する権利があるってのはいいですよね。なんだかBioshockを思い出します。あ、いや、あのゲームは…。

ラストと言えば、同じインディー系SFホラーのSOMAです。これも傑作アドベンチャーの一つです。私はこういったアドベンチャーゲームが大好きです。

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